「厳しい助言」を粮にし、働き方改革を目指す Entrepreneurs 14

このシリーズでは、东京大学の起业支援プログラムや学术成果を活用する起业家たちを绍介していきます。东京大学は日本のイノベーションエコシステムの拡大を担っています。

ビジネス経験に基づく个人の知见と、そのような知见を必要とする公司?个人とをマッチングするナレッジプラットフォームを展开するのが、株式会社ビザスクです。
同社を率いるのは、端羽英子代表取缔役颁贰翱。端羽さんは现在、注目すべき起业家の一人としてメディアで盛んに取り上げられていますが、东京大学経済学部を2001年に卒业してから会社设立までの11年间の轨跡は、必ずしも平坦ではありませんでした。私生活で出产、育児を経験し、キャリア面では投资银行、外资系消费财メーカー、投资ファンドで勤务するなど、様々なライフイベントを凝缩した时を过ごすことになったからです。その中にあっても、米国の公认会计士资格を取得したり、米?マサチューセッツ工科大学(惭滨罢)で惭叠础(経営学修士)を修了したりと、常に自身の成长を目指してきました。
ビザスクは设立后たちまち大跃进を遂げ、2020年、东京証券取引所のマザーズ(现グロース市场)に株式を上场。翌年には、自社より规模が约2倍も大きい同业の米公司、コールマン?リサーチ?グループを买収し、业界の世界トップを目指して、国内事业?海外展开の両轴の成长を加速させています。
自身が一人で始めた事业がこれほどに成长した里には、「他者からの厳しい助言」と、大学时代の学びや恩师?仲间からのサポートがあったと、端羽さんは振り返ります。
「この人との1时间にならお金を払える」
端羽さんは、社会人1年目で妊娠して会社を辞めたことから、「日本の会社でキャリアアップしていくことがイメージできない」と感じ、起业を意识するようになりました。その数年后に惭叠础を取得するために留学した惭滨罢で、起业が当たり前の选択肢になっていることを目の当たりにし、改めて起业の素晴らしさを认识することに。その端羽さんに起业のタイミングが访れたのは、当时勤务していた会社で「次のステップに向けて自身の成长が难しい」と感じたことと、子どもの中学受験とが重なったときでした。
退职后にビジネスモデルを検讨していた时、知人のつてで出会ったのが、着名な経営者で、自身が当时起业しようとしていたビジネス分野で成功を収めていた人でした。ビジネスプランを説明し助言を求めたところ、すぐさま酷评されたそうです。多くの人なら打ちのめされるところですが、端羽さんは违いました。「今まで费やした时间は何だったのだろう。この人との1时间にならお金を払える」と思ったそうです。
この経験を踏まえて始めたのが、「ビザスク」です。现在は国内外45万人超が登録する日本最大级のグローバルなナレッジプラットフォームに成长し、パナソニック、叁菱地所、础骋颁など、日本有数の公司から利用されています。

日本の课题解决を考える「グローバルな视点」は东大で学ぶ
会社设立当初、端羽さんが苦労したのは资金调达でした。ベンチャーキャピタルから「他のスタッフがフルタイム社员になっていないのは、人を巻きこむリーダーシップが足りないからだ」と指摘され、资金を调达できない状况が続きました。そんな折、目に止まったのが経済产业省の「多様な『人活』支援サービス创出事业」の公募でした。
「学部时代や卒业后も、友人たちと自然に『我が国が进むべき道』を考える癖がついていました。経产省の案件も、『我が国の経済构造が変化していく中で、成长产业に人の知见がどのように流れていくか』がテーマでしたので、苦労することなく企画书を仕上げることができました」。东大在学中に身についた、「日本の活力を上げるにはどうしたらいいか」「社会を良くするには何をすればいいのか」といった日本や世界を俯瞰する视点が功を奏した形です。
东大で培った人脉も、ビジネス面で大きなよりどころになったそうです。端羽さんは、伊藤元重教授(现在名誉教授)のゼミ出身。2016年に伊藤先生をビザスクのアドバイザリーボードのメンバーに迎え、助言を受けています。また、伊藤先生の教え子で、现在は东大大学院経済学研究科の柳川范之教授には、「働き方の変革」について贵重なアドバイスをもらうことができたと话します。「柳川先生の授业は残念ながら受けたことはありませんが、伊藤ゼミの出身だと伝えましたら、快く时间を割いていただきました。柳川先生には弊社のメルマガにも登场いただき、感谢しています」
仲间を増やすことが会社成长の键になる
ビザスクの今后の成长の键は何かと问うと、端羽さんは、「良い仲间が集まってくれて、その可能性を最大限発挥し、成长してくれること」と答えてくれました。そのためには、优秀な「仲间」が入りたい会社、彼らが最大限顽张ってくれるような场所を创ることが自分のミッションだと话します。
今后の目标は、现在、业界で世界6位のビザスクをトップにすることです。コールマン?リサーチの买収で、欧米や香港の拠点を获得したほか、シンガポールに设けた子会社はアジア全域をカバーしています。「グローバル化の中で、日本の働き方は転换期にあります。その中で、我々がどのようなグローバルなプラットフォームになれるのか、日本の働き方の変革に我々がどんな価値を発挥していけるのか、それを考えるととてもワクワクしますね」
时差の関係で、コールマン?リサーチとの会议は夜中になり、端羽さんは多忙を极めますが、週末はしっかり休むことにしているそうです。现在の趣味は、茶道。「茶道では、作法の流れに沿っていなかったり、道具の扱いがいい加减だったりすると、先生に厳しく指导されます。そうやって厳しい指摘を受ける経験が大事だと思います」と端羽さん。何事でも、専门家の适切な知见を受け入れる姿势を贯いています。

株式会社ビザスク
2012年3月に株式会社walkntalkとして設立し、2015年に現在の商号に変更。経済産業省「多様な『人活』支援サービス創出事業」を2013年に受託後、2013年10月に「ビザスク」のサービスを正式リリース。2018年、経済産業省から「J-Startup」企業に選定される。2020年3月にマザーズ(現グロース)市場に上場し、同年シンガポールに現地法人「VISASQ SINGAPORE PTE.LTD.」を設立。2021年11月には米コールマン?リサーチ?グループを買収。現在は、世界190カ国以上を網羅する45万人超の知見データベースから、適切な知見を持つ人と企業とのマッチングを手がける。従業員は世界で400人以上。
取材日: 2022年3月29日
取材?文/森由美子
撮影/原恵美子