黑料吃瓜网

东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

白い表紙、サルコジほか男性が歩いている姿

书籍名

解けていく国家 现代フランスにおける自由化の歴史

着者名

ミシェル?マルゲラーズ、ダニエル?タルタコウスキ (著)、 尾玉 剛士 (訳)

判型など

304ページ、四六判、上製

言语

日本语

発行年月日

2023年12月

ISBN コード

978-4-910590-15-8

出版社

吉田书店

出版社鲍搁尝

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このところ、西ヨーロッパ諸国から聞こえてくるニュースは反移民を掲げる急進右翼政党の話ばかりだ。オランダでは一昨年2023年11月の総選挙で、ウィルダース率いる自由党がついに第一党となり、半年にわたる組閣交渉の挙句、政府首班こそ諦めたものの、新たな連合政権では重きをなすことになった。昨年2024年6月のヨーロッパ議会選挙でも多くの国で急進右翼政党が躍進した。この選挙でルペンの「国民連合」がついに第一党となったフランスでは、次の大統領選挙 (2027年) を睨んで大統領マクロンが下院解散?総選挙の大博打に打って出た。結果は報道された通り。中道与党と左翼の選挙協力が土壇場で功を奏し、国民連合首班の極右政権は回避されたものの、大統領の中道与党は過半数を失い、以後、内閣は国民連合の「寛容」に頼らないと存続できない有様となった。移民?治安政策で政権が更に右傾するのは避けられないだろう。重要なのはこれが一過性の嵐などではなく、少なくとも20年から30年前に始まった変化がついにここまできた、ということだ。これまで移民排斥に最も強いアレルギーを示していたドイツでも、「ドイツのための選択肢」がついに主要政党の一角を占めるようになり、昨年2024年9月の東部諸州の州議会選挙では第1党かそれに近い議席を確保した。
 
人権と平等を基盘に民主制が最も安定していると思われていた西ヨーロッパで、なぜこのような事态が长期にわたって続き、しかも年を追うごとに深刻化しているのか。こう言うと2015年の难民危机などに目が行きがちだが、移民?难民の数の増减だけを眺めていたのでは核心に迫ることはできない。西ヨーロッパ诸国には、高度成长期の旧植民地などからの労働者の导入によって、既に日本とは比较にならない比率の移民系住民が暮らしている。「移民」や异なる文化?宗教に対する警戒感、嫌悪感といったものは、人种差别反対のコンセンサスの下に隠れながらも、かねてから幅広く存在してきたのであって、问题はなぜそれが近年になって、タブーの壁を打ち破り、政治的に动员され表出されるようになったのか、である。
 
この点をめぐって実証的な比較政治学の世界では「経済か文化か」という論争が展開されてきたが、この不毛な議論もこのところようやく下火となり、少なくとも答えの一つは、グローバル化やEU統合にともなう経済や社会全体の自由化?市場化にある、という結論に落ち着きつつある。「ラストベルト (錆びた工業地帯)」の白人ブルーカラー工場労働者だけがトランプ旋風を支えたわけではもちろんないが、彼らに代表されるような、「グローバル化の敗者」あるいは「近代化の敗者」が反移民急伸右翼政党の躍進の過程で大きな役割を果たした、という見方は基本的に妥当だったのである。西ヨーロッパの場合には、過去30年以上 (コロナ危機を例外として) 間断なく強要されてきた緊縮政策がこれに加わる。財政規律を要求する超国家権力を持たなかった過去10年余りの日本とは全く対照的であり、労働市場の規制緩和に伴う格差の拡大や公共サーヴィスの市場化による社会経済的な「痛み」を、果てしなく続く緊縮政策が加速することによって、民衆層の政治的急進化が進み、反移民急進右翼政党がその恩恵を受けたのだ。
 
しかし同じ西ヨーロッパの中でも、第二次大戦後の経済運営の体制は国ごとに大きく異なっていた。であれば、その体制を解体していく自由化?市場化の過程もまた一様であるはずがない。本書は西ヨーロッパで最も早く、1980年代半ばに反移民急進右翼政党 (国民戦線) が台頭したフランスを事例に、グローバル化とEU統合の進展がいかにして労働市場や公共サーヴィス、社会保障システムを変貌させ、緊縮政策を恒久化させて民衆層に圧力をかけたか、を描き出している。政権が推し進める個別の制度改革を丁寧に追いかける一方で、これに反発し阻止しようとする抗議運動と対峙する中で、国家がますます装備を強化し強面の対応を取るようになっていく姿も明らかにした。実際、30年に及んだ年金改革の過程が典型的に示すように、フランスでは政権の改革の試みは民衆の街頭での抗議活動によって何度も撤回や譲歩に追い込まれてきたのであり、他の西ヨーロッパ諸国にはない特徴となっている。
 
著者二人はそれぞれ経済財政政策と社会運動について実証的な分析を積み重ねてきたことで知られる高名な現代史家であり、国民戦線 (国民連合) やその対となる急進左翼勢力の台頭について直接言及しているわけではない。しかし比較政治学者が西ヨーロッパで今起きている政治構造の劇的な変動を理解するためには、過去数十年に遡る経済社会変化のインパクトを正面から分析することが不可欠である。それはちょうど20世紀の西ヨーロッパ各国において政党システムなど政治構造の骨格がいかに成立したかを理解するには、「第一のグローバル化」とも呼ばれる19世紀末の経済社会の大変動から説き起こす必要があるのとパラレルの関係になっている。フランスに限らず、より多くの西ヨーロッパの国々について同じ作業を始めることが求められている。本書の訳出がその一助になることを祈念してやまない。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 教授 中山 洋平 / 2025)

本の目次

第I部 社会国家とその危機 (一九四五~一九九二年)
第1章 レジスタンスからド?ゴール派国家へ――二重の政治文化 (一九三六~一九四六年)
第2章 国家と一九六八年五月事件――相矛盾する二重の帰结
第3章 密かに進む自由化の三〇年 (一九六〇~一九九二年)
 
第II部 国家の自由化、グローバル化、ニューエコノミー (一九九三~二〇一七年)
第4章 自由化、もしくは?国家改革??
第5章 ニコラ?サルコジ、危机と「决别」(二〇〇七~二〇一二年)
第6章 社会自由主義からコンプレックスなき自由主義へ (二〇一二~二〇一八年)
第7章 二年后&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;
 
结 论

関连情报

原着
Michel Margairaz & Danielle Tartakowsky, L'État détricoté: de la Résistance à la République en marche [2e édition revue et augmentée], Éditions du Détour, 2020.

 
书评:
矢後和彦 (早稲田大学教授) 評 (『現代史研究』 近刊)
 
小窪千早 (静岡県立大学准教授) 評 (『図書新聞』 2024年7月6日号)

 
『経済』 2024年6月号
 
渡邊啓貴 (帝京大学教授) 評 (『週刊東洋経済』 2024年3月16日号)
https://toyokeizai.net/articles/-/739467

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